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皆様へのお知らせ NOTICE

お知らせ
2020.08.31
[在学生・受験生] 読書の愉しみpart13~本学教員が在学生や受験生にお薦めの本を紹介します~

二木立『地域包括ケアと医療・ソーシャルワーク』勁草書房、2019年1月
 『地域包括ケアと地域医療連携』(2015年10月)、『地域包括ケアと福祉改革』(2017年3月)に続く「地域包括ケア」シリーズの第3作目です。少し難しい所もありますが、本書の中では近年行われている医療・福祉改革について、特に「地域包括ケア」について国の考え方や方向性、歴史的背景を踏まえ述べられており、これからソーシャルワーカーを目指す人には読んでおいて欲しい1冊となります。
 特に第2章・第2節の近年の医療・福祉改革はソーシャルワーカーにとって好機か?危機か?では、今後求められる福祉人材としてソーシャルワーカーを挙げているが、社会福祉士や精神保健福祉士の資格ではなく、ソーシャルワーク機能備えたワーカーを重視している。これを読み、今後社会福祉士を養成していく立場として、ソーシャルワーク機能を備え、加えて「冷静な頭脳と温かい心」を身に付けられるような教育をしていかなければならないと感じました。
 初めに述べたように少し難しい部分があると思いますが、読んでみて、これからの福祉を考える一助にしてください。
(社会福祉学部 富澤一央)

 

宮本ふみ『無名の語り―保健師が「家族」に出会う12の物語-』
医学書院、2006年10月
 ここでは、保健師が相談を受け関わった12の物語になります。保健師という職種について知らない方にも、地域の人達との関わりの一辺を知ることがでるでしょう。
 保健師の仕事は多岐にわたりますが、地域の方から相談を受けることは、大切な業務となります。相談者も物語の中にあるように、病気である当事者やご家族、近隣の人たち、民生委員や関係機関の職員など、保健師が担当する地域に住むすべての方々です。私自身保健師として多くの相談や苦情を受けてきたので、この物語にある相談の多くに共感し、同様な経験をしたことを、改めて思い起こすこととなりました。
 アルコール依存症の怖さも、統合失調症を発病した家族の苦しみや治療に繋げる難しさ、家族としての機能を失った親子に、互いの信頼を取り戻すことの困難さなど、一見特別に思われるかもしれませんが、どの町や村、都会や田舎にも存在しているということがあります。健康である家族は、問題があっても自身で良い方向を知り、手段を考え問題解決に向かいますが、一旦歯車がズレてしまうと、容易に修正ができなくなることもあります。そうしたときは、外(家族以外の人)からの風が心を癒し、寄り添いを得ることで、家族一人ひとりが本来の力を取り戻すきっかけになるのです。
 保健師の日々の仕事の様子や援助がどのようにされているのか知ることができると思います。保健師に興味がある方には、特にお薦めします。
(看護学部・勅使川原洋子)

 

なかにし礼『赤い月』上下、新潮文庫二〇〇三年十一月、岩波現代文庫二〇一九年六月
 作者の母親をモデルとした小説です。
 一攫千金を狙う夫森田勇太郎とともに主人公波子は、当時の満洲国(現在の中国東北部)に渡ります。そこで酒造会社を興し見事に成功します。そんな森田家にはいろいろな人がやってきます。当地の役人・満人(満洲国在住の中国人を当時はこのように言っていました)朝鮮人・白系ロシア人等々。これらの人々は表とは違う顔を持っていました。
 そして裏の顔が現れるのがソ連参戦の8月9日からです。この日を境に森田家の逃避行が始まります。この時からこれらの人々の裏の顔が明らかになってくるのです。戦前の日本の勢力下(満洲国)において、外国人がどのように思われていたのか。そして立場が逆転した時に、日本人がどのような扱いをされたのか、ということもしみじみと考えさせられます。
 戦前・戦中・戦後を女性が己の意思で生きること、そして女性の持つ強さというものを考えさせられます。人間が極限状態になるとは何を意味するのか。そしてそのような時にでも男と女は惹かれ合う人間の業の深さ。といったものをこの小説は我々に示してくれます。
 映画及びテレビドラマ化もされています。(個人的には高島礼子主演のテレビドラマがお薦め。ただしyou tubeには後半しか載っていません。映画は常盤貴子主演)こちらも是非見てみてください。

 

アナ・レナス (著) おおとも たけし (翻訳)
「カラーモンスター きもちは なにいろ?」 永岡書店 2020年2月
 カラーモンスターは、自分でも何が何だかよくわかりません。いろんな色の気持ちがごちゃごちゃにこんがらがって…。カラーモンスターは、うれしい、かなしい、いかり、ふあん、おだやか、の5つの気持ちを整理することができるでしょうか。全世界で200万部を突破している「カラーモンスター」シリーズの第一作目の絵本です。
 このポップアップ絵本は、まだ感情のコントロールが難しい子どもたちが、自分の感情を把握し、気持ちの整理や表現をすることを手助けします。うれしい、かなしい、おだやか、ふあん、いかり…私は、いま、自分がどんな気持ちなのか?まずは、カラーモンスターたちと一緒に、感情を色分けして整理してみましょう。
 シンプルなのに大きく動く飛び出すポップアップ絵本。繰り返し読むことで子ども達の「共感」する力が育つとともに、私たち大人にとっても大切なことを思い返すことができる素敵な作品です。
(社会福祉学部・田中 輝幸)

 

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