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お知らせ
2020.09.14
[在学生・受験生] 読書の愉しみpart15~本学教員が在学生や受験生にお薦めの本を紹介します~

池田晶子『14歳からの哲学―考えるための教科書―』トランスビュー、2003年3月
 あなたは一生懸命にやったことが報われず、失意のどん底に陥ったことはありませんか。誰かにすごく傷つけられて、悶々としたことはありませんか。そんな時、あなたはどうしたでしょうか。
 私もこの年齢まで何度も挫折を経験し、修羅場(?)もいくつかくぐり抜けてきました。でも、今ここにこうして「存在」しています。どんな困難に直面してもそれを解決しなければならないのは自分自身なのだから・・・、とは(気軽に)よく言われます。でも、ここでちょっと立ち止まって、もっと踏み込んでみましょう。つまり、「辛い」「悲しい」と感じるのは他の誰でもなく、自分自身なのです。そこで、「こんなにも絶望している(悲しんでいる・怒っている)自分って何だろう。」と考えてみるのです。
 「哲学」というと、難解な学問であるとして敬遠される傾向がありますが、決して遠い存在ではありません。ましてや講義を聴いて覚えるものでもありません。〝自分自身が考えて知ろうとすること〟なのです。
 この『14歳からの哲学』は、哲学の考え方の基本である「人間の存在とは何か」について語りかけることから始まり、「現実とは」「真実とは」、その他「善悪」「自由」「理想と現実」「友情と愛情」等々、哲学の原理を本当にわかりやすく示してくれます。学を究めた人ほど易しく説けるものなのです。その上、「君たちは・・・」「もし、君が・・・」と呼びかける文調が、我々を導いてくれます。
 そして読み進めるうちに、本質は「精神」の問題であることがわかってきます。また、謎である人生や生死、さらには自分自身そのものについて「考える(思索する)」ことによって、小さな自分の姿を「大きな自分」が見つめるようになってくるのです。
 この本は、中途半端な日々を送らないために、〝物事の本質を考える(思索する)〟際の絶好の手引きとなるはずです。さあ、〝哲学する〟ことで揺るがない心をつくっていきましょう。
(社会福祉学部・山岸裕美子)

 

早樫一男 編『対人援助職のためのジェノグラム入門』中央法規、2016年4月
 ちょっと見た限りでは難しい内容では?と思うかもしれない。それが意外と読みやすくすぐに読めてしまう。わかりやすい。面白い。
 自身、児童福祉の領域で、対人援助の仕事をしてきて、多くの場合、「家族」に視点を当ててきた。その「家族」を理解するための基本の一つが「ジェノグラム」である。つまり、「人」を理解する基本とも言える。家族の状況を視覚的に捉えるものである。
 わかりづらい人は、新聞の記事で、試してみてもいいかもしれない。何か事件等の詳報をただ文字で追うのではなく、ジェノグラムに落としてみると、事件がすっきり理解できたり、見えなかったものが見えたりする。結構いい気分になれる。
 この本は、このジェノグラムをわかりやすく解説してくれている。多分読めば、かなりのレベルでジェノグラムが書けるようになる。すなわち「人」が解るようになるかもしれない。人間関係の隠れた面がみえるかもしれない。
 ジェノグラムの活用範囲は広い。一般的な面から、専門的な面まで使える範囲は広く、工夫次第でその範囲も広がっていく。覚えておいて損はないと思う。
 もし、対人援助職になりたい人がいたら、なおさら読んでみてもいいかもしれない。
(社会福祉学部・真下 潔)

 

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』コミュック版、
マガジンハウス、2017年11月第7刷発行、342p 、1,300円。
 本書の原作は、80年前に書かれた吉野源三郎(1899~1981 岩波新書の総合誌編集長)の小説で少年を主人公にした直球の人生論として幅広い世代の心をつかんで長く読み継がれてきたロングセラーである。このほど随所に原作小説の文章をそのまま挿入している「漫画版」となりミリオンセラーとなっている。
 日々の暮らしの中で様々に思い悩む、15歳の少年「コペル君」の疑問に、近所に住む親戚の「おじさん」が答えていくという物語だ。経済格差やいじめなど今も存在する社会問題を問うとともに、時代に左右されない人間や人間関係、人間社会の本質を見事にすくいあげている。
 本書のストリーのメインといえる、コペル君の「裏切り」事件。大事な友達が上級生に難癖を付けられて殴られるのを黙ってみていた、というものだ。仲間で「守ろう」と約束していたにも関わらず、友達を「見捨てた」ことを後悔し、学校に行けなくなってしまう。
 寝込んでしまっているコペル君に母親が、自身のエピソードを語る。伝えられたのは「過ちをポジティブに変換する」つまり、「できなかったことを後ろ向きに悔やむ」だけではなく、「自分の背中を押すもの」と捉えることで、「次は(できなかったことを)しよう」と決心させる原動力にするのだ。
 コペル君の純粋でみずみずしい感性からは、現代の不透明で不確実な世界で「私たちはどう生きるか」のヒントが得られる。先行き不透明であるがゆえに過ちを恐れては前に進めない。コペル君やその母親のように「過ち」をポジティブな勇気に変換する習慣をもつことが、現代では特に重要な意味を持つのではないだろうか。
 コロナ感染症拡大がもたらす影響と対峙する日々、「私はどう生きるか」のヒントを本書から得られればという願いからお薦めします。
(看護学部・樋口キエ子)

 

文:デブ・ペティ 絵:マイク・ボルト 訳:小林賢太郎
『オレ、カエルやめるや』マイクロマガジン社、2017年11月
 “隣の芝生は青く見える”この昔からある格言を、現代風にユーモアたっぷりで教えてくれる絵本です。
 カエルの子が、いきなりお父さんカエルに「あのさ、おとうさん。オレ、ネコになることにするや。」と話しかけるところから始まります。なぜかというと、カエルはカエルがいやなのです。ぬれているし、ヌルヌルしているし、ムシばっかり食べているし…。それよりも、もっとかわいくて、フサフサの動物になりたいと言います。出てくる動物は、ネコ、ウサギ、フクロウ、ブタ、オオカミです。お父さんカエルは他の生き物にはなれない理由を話します。最後にオオカミとの会話で、「ヌルヌルしているから食べられない」と言われ、ヌルヌルしているカエルでよかったというオチが面白く表現されています。
 持っているものはそれぞれ違い、いろんな特性があり、ないものねだりでうらやましく思うのですが…。自分には自分だけの“良さ”があることを知っていくのです。カエルの語り口調や、お父さんカエルや他の動物との掛け合いの言葉がユニークで、思わずクスッと笑ってしまいます。読み手も聞き手も楽しくなる、読み聞かせにぴったりな絵本です。
(社会福祉学部・吉澤 幸)

 

鈴木敏恵『自分が好きになる 自信がわく 願いがかなう 夢ファイル』
日本実業出版社、2008年3月
『こんな人に、この本は役にたちます』
🔸夢をかなえたい人、成功したい人、成長したい人
🔸なんとなく自信がなくて、自分が今のままでいいか気にしている人 
🔸進路が決められない人 etc.
 『夢ファイル』のつくり方は簡単です。1冊のA4ファイルにどんどん、自分のやってきたことや好きなもの、関心のある資料を入れていくだけです。『夢ファイル』をパラパラとめくると、自分にささやかな誇りや自信を感じるようになります。もっと、自分を大切にしよう、自分を活かそう、そのためにもっと人間として成長したい、学びたいという気持ちが自然にわきあがります。夢をかなえるため、よりよく生きるためには、自分を肯定することが何よりも必要になります。
 『夢ファイルがもたらす10の効果』は、①自分のいいところや個性を発見できる。②自分を好きになれる。③自分を客観視できるようになる。④成長の道のりが見える。⑤キャリアアップの意欲がわく。⑥目標に向かってまっすぐ進める。⑦自己紹介がうまくなる。 ⑧初対面の相手とも会話がはずむ。⑨獲得した知識の体系化ができる。⑩問題解決のプロセスが見える。
 さあ、自分の進路に迷っている人、自分を成長させたい人は、『夢ファイル』をつくることで、「自分の好きなことや関心のあること」、“気づかなかった自分”を発見してみませんか。『夢ファイル』をつくるプロセスは、ウキウキ、ワクワク楽しい気持ちになります。
私も『夢ファイル』を時々、俯瞰して元気になっています!
(看護学部・平出恵子)


福岡伸一著『新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』小学館新書、2017年5月
 著者は生物学者の福岡伸一先生です。2009年に刊行された『動的平衡』の単行本の新書で、第9章が追加されています。福岡先生は、難解な分子生物学に関する内容も身近なことを通して分かりやすく語ってくださいます。先生の自然と生命に対するあたたかいまなざしに満ちた語り口は多くの人を惹きつけます。私も朝日新聞のコラムがきっかけで先生のファンになりました。
 本書では、“歳を取ると一年が早く過ぎると感じるのはなぜ?”という身近な疑問や、“コラーゲンをいくら摂っても体内のコラーゲンを補給することにはならない”、“食べたものは口から入り胃や腸に達するが、この時点ではまだ体内に入っていない。では、いつから食べ物は体内に入ったことになるのか”という興味をそそられるような疑問に対して、動的平衡という概念をもとに分かりやすく解説してくださっています。私たちの身体のなかで分子は絶え間なく動き、分解と合成を繰り返し、固い骨や歯であってもその内部は入れ替わっているのです。 “一年前の私と今日の私は分子的にいうと全くの別物である”という事実を提示されたとき、ちょっとした衝撃を受けました。それまで、そのような視点で自分自身の身体のことを考えたこともなかったからです。同時に、新たな発見をした喜びも感じました。
 ぜひ皆さんにも、生物学的視点から私たちの世界を見ることの面白さを味わっていただきたいと思っています。
(看護学部・堀越摂子)

 

海部陽介『日本人は、どこから来たのか?』文藝春秋2016年2月
 あなたは、「日本人の祖先は、いつ、どこから来たか?」こう聞かれたらどのように答えますか。この根源的な疑問に答えを出した研究者がいます。今回、紹介する本の著者である国立科学博物館の海部陽介氏です。約10万年前、アフリカで生まれた私たちの祖先(ホモサピエンス)は、数万年をかけて世界中に広がっていきましたが、日本にやってきた時期やルートははっきりしていませんでした。この本は、その道のりについての新設が、まるでミステリーを解いているように語られています。
 著者は、日本の旧石器時代の遺跡(1万か所以上ある)を詳細に調査し、私たちの祖先がヒマラヤ山脈で二手に分かれて、3万8千年前に日本に到来したと結論付けます。そして、どのように到来したかについては、当時の気候等について考慮すると「海路」だったと考えました。(北海道ルートは陸路)そして、3つのルート(①沖縄ルート・台湾から沖縄、②対馬ルート・朝鮮半島から本州、③北海道ルート・シベリヤから北海道)の可能性を、世界や日本各地の遺跡の年代調査や石器の比較調査、遺骨のDNA分析等から説明しています。特に興味深いところは、3つのルートの中で可能性に謎が残る沖縄ルートについて、台湾から与那国島までの100キロ以上の海路を3万年前の人々が使用したと考えられる手作りの舟に乗り、コンパスも使わず人力だけで到達できるか、科学者でチームをつくり検証を進めているくだりです。(2016年)その後、船に改良を加える(草舟から丸木舟へ)等の試行を重ねたのち2019年には40数時間をかけて見事、与論島に到達したとの報道がなされました。人の潜在能力と冒険心のすばらしさを感じさせるできごとでした。
 みなさん、この本を手に、いっとき古代人のロマンに浸ってみてはいかがでしょうか。
(社会福祉学部 高等教育支援センター・小林 義信)

 

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