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授業情報 LESSON

授業情報
2021.01.29
学ぶ愉しみpart.6~ 本学教員が高校生のみなさんを「学ぶ愉しみ」知の世界へご案内します~

学ぶ愉しみ
社会福祉学部・社会福祉専攻  安留 孝子先生

 

・この専攻でどういうことを学ぶのか
 社会福祉学を中心に、心理学や教育学等の専門的な知識を修得します。社会福祉学は、人びとが幸せに安心して暮らせる社会の実現のために、どのような仕組みが必要かを考える学問です。私たちは、人生の中でさまざまな困難に直面します。例えば、病気や障がい、失業等で経済的に困窮したり、子育てや介護の悩みを抱えたりすることもあるでしょう。また、子どもや高齢者への虐待、子どもの貧困、障がい者への差別や偏見、地域社会の中で孤立する人びと、中高年のひきこもり等の社会問題もあります。社会福祉学の役割は、広く人びとの生活に関わる社会問題を発見し、その背景を分析することを通して、解決策、予防策を探ることです。社会福祉学の学びは多岐にわたりますが、大きく2つに分けると、社会のあり方を社会保障等の制度・政策から考える側面と、個人や集団、地域社会のさまざまな場面で人びとがよりよく生きていくことを支援する技術的な側面があります。

 

・この専攻を学ぶ楽しさはどこにあるのか
 理論的なことにとどまらず、学生自身が実践の場に参加しながら、人びとの生活の状況や時代と共に変化する地域社会が抱える福祉的課題を発見します。そこから「なぜこのような問題が起こるのだろうか」「課題解決のために、また社会をよくするために何が必要か」という知的好奇心が引き出されます。さらに、「自分たちに何ができるのか」を考え、学んだことを社会に還元していくことができる実践的な学問であるところも学びの魅力でしょう。
 社会福祉を中心に、自分の興味・関心を広げ、教育、心理、保健医療、まちづくり、環境、雇用、NPO・ボランティア、国際協力・交流等の幅広い領域と関連した学びや創造的な実践ができるところも学ぶ楽しさだと思います。人びとや社会の「幸福」とは何か、「社会正義」とは何か、人が生きるとはどういうことか、人が人を「ケア」することの意味等、社会福祉実践の根底にある哲学的なテーマを深く探求していくことも大切です。

 

・この専攻で学んだことがどのように役に立つのか
 社会福祉や教育に関わる仕事に必要な専門的な知識・技術、倫理観を身につけることはもちろん、どのような分野に進んでも必要とされる社会を見る視点が養われ、コミュニケーション能力を向上させることができます。他者(世代、性、障がい、文化等の違い)の生き方に触れ、その価値観を認め尊重する姿勢、他者の立場を想像できる豊かな感性も育まれるでしょう。また、地域社会の課題解決に向けて、他者と協働し、新たなアイデアを創造する力が身につくでしょう。
 社会福祉学は私たちの生活に身近な問題を取り上げるので、人生の中で、家族や友人、皆さん自身が困難な問題に直面したとき、学んだ知識はそれを解決する助けになります。
 社会福祉を学びたいという人の多くは、「人や社会のために貢献したい」という意欲を持っていることでしょう。この専攻での学びを活かし、社会福祉専門職や教育者として、ボランティア等として、人や社会の役に立つことができます。

 

・この専攻で学んだ人がどのような職業に就くか。または社会貢献が可能か。
 社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格を取得し、ソーシャルワーカーとして社会福祉施設、福祉事務所、児童相談所、社会福祉協議会、地域包括支援センター等で相談業務に就くことができます。病院で患者の心理社会的サポートを行う医療ソーシャルワーカー、学校を取り巻く子どもの問題に取り組むスクールソーシャルワーカー、刑務所を出所後の社会復帰を支援するソーシャルワーカー等、活躍の場は広がっています。
 また、教員免許状を取得して、福祉の視点を持った中学校・高等学校、特別支援学校の教諭として教育に携わることもできます。
 福祉や教育関連企業で働いたり、地域の課題解決に取り組むコミュニティ・ビジネスの担い手として、NPOを立ち上げたり等、多くの可能性があります。
 国際的視点を持ち、日本の高齢化への対応の「経験」を他のアジア諸国に伝えたり、日本の地域社会に居住する外国人との共生や彼らの支援に活かしたりすることもできるでしょう。

 

・この専攻の理解をさらに深めるためのお勧めの一冊
 ミルトン・メイヤロフ著、田村真・向野宣之訳『ケアの本質-生きることの意味』ゆみる出版
 社会福祉専攻には、「社会福祉」「福祉心理」「学校教育」の3つのコースがあります。私は、各コースに共通しているキーワードのひとつに「ケア」があると思っています。「ケア」には、狭くは「介護・看護」、広くは「関心」という意味が含まれております。私はソーシャルワーカーや教員という対人援助の仕事は、「相手への関心」がなければ成り立たない職業だと感じております。
 著者のメイヤロフは、親と子、教師と生徒、芸術家と作品等、他者と向き合うことにおける「ケア」という営みを哲学的なアプローチで綴っています。「一人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである(13ページ)」等、ソーシャルワーカーや教師を目指す人や深く学問として「ケア」について追求したい人に読んでいただきたい一冊です。

 

※写真はインドネシアにて

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会