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お知らせ
2020.06.29
[在学生・受験生] 読書の愉しみ part4~本学教員が在学生や受験生にお薦めの本を紹介します~

大村はま『新編 教えるということ』ちくま学芸文庫、1996年6月
 著者・大村はまさんは、戦前から戦後にわたって50年以上国語科の教師として教育現場にあり続けながら、国語教育についての著作など多くの優れた業績を残した人です。
 本書は国語教育にとどまらず、教師なら誰にも覚えがある、教師でなくても学校生活を振り返ったとき誰でもが聞いたことのある「あるある」を例に教育や教えることについて書かれています。
 題名を「教えるということ」にしたのは、「教える」ということをしない教師がたくさんいて困るからというのです。例えば、国語の授業において、開口一番、「読んできましたか」という教師は、何も教えないのと同じことだといいます。
 学校はあくまで、「学校」で、学習する場であり、家庭は「生活の場」であり、学習をする場ではない。「読む」という一番大事なことを家庭で行うのであれば、学校は検査室になってしまう。教師は何も教えていないことと同じで、最初に本を開き、感動をもって読む第一読が、学校で感動をもってなされることである、と指摘しています。
 その際、子どもがどういった箇所でつまずいているのか、その手当を考え、指導するのが、「教える」ということになる、というのです。
 加えて、子どもに「わかりましたか?」と聞くのは禁句だと言っています。子どもがわかったか・わからなかったかを教師自身が知ることが大切で、そのことを子どもに直接聞くのは教師に甘えがあるのではないか、と批判しています。
 自戒の念を込めて、「読んできましたか」「わかりましたか」といった、当たり前ともいえる教師の投げかけには、大きな間違いが潜んでいることを再認識し、授業に臨まなくてはなりません。
 本書は、新任の若い教師を対象にした講演や教師の研修会で話した記録をもとに、「教えるということ」「教師の仕事」「教室に魅力を」「若いときにしておいてよかったと思うこと」の4章にまとめたもので、読者の皆さんへ語りかけるような文章で書かれています。
 最初は1973(昭和48)年に出版され、新編として1996年に別の出版社から出版されたものですが、現在も多くの人に読まれています。
 人とのやりとりをする上で大事なエッセンスが詰まり、何より当たり前のことが当たり前ではない、ということを気付かせてくれます。将来、教師を目指す皆さんには読んでいただきたい一冊です。
 大村はまと教え子の対談をもとにした、「大村はま、刈谷剛彦・夏子『教えることの復権』2003 ちくま新書」は、生徒目線のことも書かれており、一緒に読むことをお勧めします。
(社会福祉学部 江原 京子)


渡辺和子『置かれた場所で咲きなさい』幻冬舎、2012年4月
 皆さんは今の環境について満足していますか?
 著者は30歳間近で修道院にはいり、その後アメリカに行き学位を取得、36歳という若さで学長に任命されました。周囲からの風当たりも強く、大変な苦労をしました。初めての土地、思いがけない役職、未経験の事柄の連続であり当初考えていた修道院生活とはあまりにも違い、いつしか「くれない族」になっていました。学生が「挨拶してくれない」こんなに苦労しているのに教職員は「ねぎらってくれない」「わかってくれない」と。
 自信喪失のしたときに、一人の宣教師に「置かれた場所で咲きなさい」という英詩を渡されます。おかれた場所に不平不満を持つのではなく、今の環境で自分なりの花を咲かせようと決心し、「くれない族」の自分と決別しました。自分から挨拶し、微笑みかけ、お礼を言う人になったのです。すると、教職員も学生も皆あかるくなり優しくなったのです。
 どんな環境(状況)でも、すべてのことには意味があり、感謝することを思い返すきっかけになる本です。仕事でもプライベートでも、思い通りにいかなかったり、うまくいかなかったりすることがあります。著者は、そういう時に状況・環境に対して不満を言うのではなく、自分自身のとらえ方と行動を変化させる努力が必要だと書いています。今の環境に不満を抱いている人は、自分の言動を見直すと新しい気付きがあるかもしれません。
 この本に出てくる好きな言葉を2つ紹介します。
「どうしても咲けない時もある。そんな時は無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために」
「一生の終わりに残るものは我々が集めたものではなく、与えたものだ」
(看護学部 木戸美佐子)

 

ヘンリー・D・ソロー『森の生活-ウォールデン』講談社、1991年3月
 「わたしが森におもむいたのは、自分の人生にとって大切なことだけに向き合い、慎重に生きたいと願ったからだ。森が教えていることを、自分はどう学ぶことができるか確かめたかった」
 ソローはウォールデン池畔に自力で家を建て、2年2か月の間、自分の手仕事だけで生計を立て、暮らしていく実体験を通して本書を書き上げた。その現実的体験を通して、人間のあるべき姿を、また人間に人生をいかに生きるべきかを教えてくれている。
 本書はリハビリテーションに従事する者や本学の学生たち、またリハビリテーション専門職を目指す高校生たちにぜひ読んでいただきたい作品である。リハビリテーションの対象は「障害」であり、その障害を持って生きる人間である。人を相手に仕事をするということは、「人を知ること、人間とは何かを知ること、自分とは何かを知ること」が欠かせない。ともすると我々リハビリテーション専門職は、身体機能面に偏重しがちになり、その身体機能を用いる“人”やその“人の生活”を忘れがちである。
 本書は、自然を相手に孤独な森の生活を送ることによって、結果として便利な生活から無駄で余計なものをそぎ落とし、人間の生きるという本質を様々な角度から語りかけている。今まで当たり前だと思っていたもの、あって当然と思うものが無くなったとき、それでも真摯に一所懸命生きていくことで、今までの自分の価値観が変容し、何が大切なのか、生きるとはどのようなことなのかが改めて分かるようになるのである。
 読書とはこのように自分で経験して体得しなくても、他者の貴重で素晴らしい経験や考えを知ることができる。ぜひ皆さんに本書をお勧めしたい。
(リハビリテーション学部 小島俊文)

 

林房吉・水野谷繁編『安全・安心のケアとは』ぎょうせい、2011年6月
 本学では医療・福祉の専門職を養成しています。資格取得のためには、各種実習が必須となり、学生は在学中から医療機関、福祉施設に入り、患者さんや利用者さんとの関わりを通じ実に多くの事柄を学びます。
 勿論、実習前には実習関連科目の授業のなかで、実習における注意事項・留意点等について伝達されますが、自ら医療・福祉の対象者がどのような状況にある方なのかを考え、「患者さん・利用者さんにとって安全かつ安心のケア」とはどのようなことなのか理解・認識、また学習しておくことも大切なことといえましょう。そこでお薦めの書籍が上記書籍です。
 本書は、介護施設に特化して記されてはおりますが、健康管理・リハビリテーション、感染症の予防と対策、想定される事故・事故事例などについても詳述されています。さらには、本書を通じて、多職種連携・チームケア、リスクマネジメントなどの知識を得ておくことの意義や重要性などについても学ぶことができると思われます。
 医療・福祉の対象者に対して「安全・安心」は最優先すべき事柄であり、専門職者にとっては常に頭に置かなければならない肝要なことといえるでしょう。
 対人援助職である医療・福祉の専門職を目指す在学生、高校生のみなさんが、学習過程における実習を意義あるものにしてほしい、そして将来有能な専門職者となり自覚とプライドをもって仕事に従事してほしいという願いから本書を紹介させて頂きます。
(短期大学部・土屋昭雄)

 

オリヴァー・サックス『妻と帽子をまちがえた男』ハヤカワノンフィクション文庫、2009年7月
 なかなか刺激的なタイトルだと思いませんか?よほど帽子と似た人と結婚したのか,それとも妻そっくりの帽子があるのか,はたまた何か深い意味のある例え話か。ちがうのです。文字通りに『妻の頭を帽子とまちがえてかぶろうとする』という症状を示した音楽家の事例が載っている本なのです。
 この本は,脳神経外科医の作者が,その臨床活動の中で出会った『奇妙でふしぎな症状』を持つ患者さんについて,物語としてまとめたものです。事例論文ではなく物語としてまとめられているので読みやすく,一方で現役の医師が実際の患者さんとの真剣な関わりを全力で書いているのでとても学びの読み応えのある一冊です。また,タイトルにもなっている『妻と帽子をまちがえた男』を含めて24人の患者さんの物語が短編としてまとめられているので,メリハリの利いた読みやすさがあります。
 医療や福祉,教育といった領域での専門職を志す皆さんは,今後さまざまな困りごとを抱えた方と出会うと思います。きっとそのたびに「どうしてこんなことになっているんだろう?」「この人には何が起きているんだろう?」と頭を悩ませ,「自分には何ができるのだろうか?」と考え込むのだと思います。この本は,医師が『びびっ!』と何か特効薬を処方したり,『ずばっ!』と脳を見事に手術した結果,患者さん達の症状が消え去った,というものではありません。その『奇妙でふしぎな症状』に悩み,困りながらも,人間として精一杯生きていこうとする患者さんと,それに寄り添う医師のお話です。きっと刺さるものがあるのではないかと思います。
 手に取って読んでみた後に「もっとこういう感じの本はないですか?」と研究室のドアをノックしてくれる方,たくさんまだまだおすすめの本がありますので,お待ちしています。
(社会福祉学部・大島由之)

 

小島すがも『看護師もなみだした 老人ホームの素敵な話』東邦出版、2018年5月
 「心から「人」を好きになれる、実際にあった19の感動ドラマ」「泣ける!笑える!最強のじいじ&最愛のばあば 老人ホームの素晴らしき面々」とカバーに書かれている。表紙や中に書かれているイラストも子供が描いているようだが実にほほえましい、思わず笑顔になります。
 「老人ホーム」と言う響きはどこか暗いイメージを持っていた。しかし人の数だけいろんな人生があり、いろんな生き方があって、いろんなものを背負って生きてきた人たちの最後の住みかとなっている。天涯孤独の人、ご夫婦で入所している人、入所中でも家族に囲まれている人、認知症の人、いろんな事情があって入所している。様々な人生に関わる看護師や介護士は、戸惑いや驚きの中でホロリしながら笑顔になれる、そんなドラマが描かれています。
 人生長く過ごしていると、もう自分を変えられずストレートに思いを表現し、時には憎まれ口や傷つける言葉を発することがあります。しかしその言葉の裏にある本当の気持ちを素直に表せない不器用な人に関わる看護師や介護士の感性豊かな関り方に学ぶことが多い。短時間で読むことができ読んでいて心豊かになりますのでお薦めです。
(看護学部・黒澤磨由美)

 

稲盛和夫『生き方』サンマーク出版、2004年8月
 著者である稲盛和夫氏は京セラやKDDIを設立した経営者であり、現在ではボランティアとして経営者の育成を行う「盛和塾」の塾長としても活躍されています。
 現代は先行きの見えない「不安の時代」を迎えており、豊かなのにどこか心が満たされない、自由なはずなのにどこか閉ざされた閉塞感を抱いている人は少なくないのではないでしょうか。生きる価値、意味を見出せないで悩んでいる人が多いと感じている人も多いはずです。その問題をどうしたら解決できるのか、つまり何のために生きるのか、生きるための指針を教えてくれる一冊となっています。
 本書で稲盛氏は「人としての正しさ」を強く訴えています。嘘をつかない、人に迷惑をかけない、正直でいる、謙虚でいる、努力を重ねる、感謝をする、利他のために動く、不満を言わない。これを貫くということがビジネスだけではなく、人生の成功を導くと述べています。至ってシンプル。多くの人が小学生、いや物心ついたときから親や大人に言われてきたことだと思います。そして、これら「人としての正しさ」が大切だということは十中八九の人が知っているはず。しかし、本書を読み、いかにこの当たり前のことができていないかに、ハッと気づかされました。知らず知らずのうちにいつの日か学んだはずの、「人としての正しさ」忘れ、嘘をついたり、努力を怠り、利己的に不満を漏らし、自ら心が満たされない、閉塞感を抱く道を選んでいるのです。私にとって、この本はそのことに気づくきっかけとなりました。
 確かに、専門的な知識や技術を磨くことも重要なことではありますが、医療は人相手の仕事です。土台には「人としての正しさ」があり、この土台を大きく、確かなものにする、まずは自分自身が幸せを感じることでより患者さんへ幸せを提供できるのではないかと思います。ぜひ手に取っていただき、自身だけではなく、あなたの周りの人共々幸せとなるきっかけとなれば嬉しいです。
(リハビリテーション学部 小林雄斗)

 

水野敬也『夢をかなえるゾウ』飛鳥新社、2007年8月
 皆さんは、「夢をかなえるゾウ」という本を知っていますか?この本はドラマ化までされた超人気作品なので名前だけでも聞いたことのある人が多いと思います。この本では冴えない主人公の前にガネーシャという関西弁の像の姿をした神様が現れ様々な課題を出して主人公を成長させていくという物語です。
 いつしか「人生を変えよう」と思っているけど、何も変えられない普通のサラリーマンがいた。そこへある日突然、ガネーシャというゾウの姿をした神様が現れた。何をするのかと思いきや、主人公の家にニートとして住みつき、ゲームをしては寝るだけの怠惰極まりない生活をしているだけのガネーシャ。そんなガネーシャが、「今からワシが出す簡単な課題さえこなしていけば、お前は確実に成功する」と自信満々に言い放つ。半信半疑になりながらも、このサラリーマンはガネーシャの出す課題をこなし始めた。人生やビジネスの世界での成功を掴むための方法が「ガネーシャ」の言葉を通して語られている一冊である。
 「コンビニでおつりを募金する」「食事を腹八分目におさえる」「その日頑張れた自分をホメる」などの課題が、主人公や読者に与えられる。ガネーシャから与えられる「課題」をこなしていけば、人生を変えるためのヒントが必ず見つかるはずである。物語形式の話となっているので、非常に読みやすくて「ためになる本」となっており、ぜひ、一度手にとって読んで頂きたい一冊である。
(短期大学部 福田智久)

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会