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授業情報 LESSON

授業情報
2021.06.09
読書の愉しみpart2~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

高岡英夫『「ゆるめる」身体学』静山社、2010年4月  

 「健康に生きる」それは、人類の永遠のテーマであり、自己実現に大きな影響を与えることは理解していても、実際はなかなか思い通りにいかないのが現実だと思います。この「ゆるめる身体学」は、冒頭から「あなたは本当の自分に出会っていない、ゆるめれば本当の自分に出会える」という言葉から始まり、「なぜ?」と読者の好奇心をくすぐってきます。  

 本書では、心や体の「締まる・固まる」現象が、本来の自分を体験しにくい「言葉の呪縛」 として、現在の締まる社会、固まる人間を創造していると述べています。固まったことをゆるめることが、本来の自分に近づく第一歩と述べ、「ゆる体操」の説明と実践方法を紹介しています。  

 「基礎ゆる」運動では、「ほゆる(骨格)」、「ぞゆる(臓器)」、「きゆる(筋肉)」「寝ゆる」、「座ゆる」、「椅子ゆる」、「立ちゆる」など駄洒落的なネーミングをつけ、「モゾモゾ」、「プラプラ」、「コゾコゾ」、「フワー」、「ネバネバ」、「トロトロ」体操など、心理的リラックス効果を高めた呼び名で実践方法を紹介しております。

 また、日本サッカー界や関西の地域社会・大学・高等学校などの実践例を基に、人と社会がどれほどの変革の可能性を有しているかなどにも触れております。気軽に読みながらも、実践してみたくなる本書、是非、「健康つくり」の一助にそばに置いてみませんか?

(社会福祉学部・櫻井 秀雄)

 

 

夏川草介著『臨床の砦』小学館、2021年4月

波平恵美子・田辺けい子著『「コロナ」と「看護」と「触れること」』日本看護協会出版会、

2021年5月

 時はコロナ禍、今回はコロナ感染症関連の書物を2冊紹介しようと思います。

 1冊目は、夏川草介著『臨床の砦』です。作者名を見て思い出す方もおられると思います。そうです、映画化もされた『神様のカルテ』の作者です。作者は長野県で地域医療に従事している医師であり作家でもあります。この本は、長野県の小さな病院を舞台に、最前線でコロナと戦う敷島医師をはじめコロナ病棟の医師、看護師たちの物語です。医療従事者が必死でコロナ感染症の患者を診ている情景ですが、まさに現状の日本の医療情勢のひっ迫状況を垣間見ているようで身につまされる想いもします。「これは医療小説ではないコロナウイルスとの戦争の記録だ」と書評が。しかしフィクションです。医療従事者を目指す皆さん方は興味を引くと思います。気軽にお読みいただけますよ。

 2冊目は『「コロナ」と「看護」と「触れること」』日本看護協会出版会を紹介します。少しマイナーな書物ですが、ページ数はたったの45頁です。

 今回のコロナ禍で皆さん方の生活スタイルは大きく変わらざるを得なかった。しかし、病院、施設で働く看護師はどうでしょうか?日夜TV等で看護の仕事が報道されていますが、「看護師の仕事って本当に大変!」それだけだったでしょか?「看護は患者さんの傍らに寄り添って手当をする」と、看護の基本を学んだ皆さん方にこの冊子は、何が看護で、何が看護ではないのか。「コロナ」はこれを考える大きな手掛かりを私たちに与えてくれた。と記しています。コロナ禍で変わらざるを得なかった日常から変えなくてはならない新常態に。

看護も変わるべきものがある。いや少なくとも見直していかなければならないことがある。

これを機会に、「看護の本質」を考えてみましょう。コロナ感染拡大が収束することを願って、皆さんも手に取ってみてください。

(看護学部 源内 和子)

 

 

高畠 通敏 著『政治学への道案内』講談社学術文庫、2012年5月

 将来、公務員になりたい人、社会福祉協議会に勤めたい人、病院で医療ソーシャルワーカーの仕事をしたい人、一般教養を勉強しなければならない人に読んでもらいたい本です。

 政治学の入門書です。その中でも、平易でニュートラルな読みやすい本です。

 政治って国民の民族性で変わるものでしょうか。この本には、変わると書かれていました。

そんなことがあるのでしょうか。色々考えました。

 私には、ロシア文学を読み漁っていた時代がありました。トルストイ、ドストエフスキー、チェーホフなど手当たり次第に読んでいました。ロシアの現代文学に至り、ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィチの一日』を読んだとき、異様な感覚に襲われました。時代が全く違うのに、収容所の表現が、ドストエフスキーの監獄のそれと全く同じように思えてきたのです。勿論、両者の表現は違っています。しかし、ロシアの人々の収監者への仕打ちは、時代を超えて変わっていなかったということです。民族性とは、恐ろしいものです。

 目を日本に転じますと、同じようなことを感じます。与党と野党の関係が、頼朝と義経の関係に似ていたり、政治を「お上のこと」と考えていたり、この本に書いてあることと同じだと感じることができました。

 皆さんも、この本を読んで、私と同じような感覚を味わっていただきたい。ただ当面としては、一般教養の勉強のための最適の1冊として、お使いください。

(リハビリテーション学部 森田 隆夫)

 

 

エルヴィン・シュレディンガー著、岡小天訳・鎮目恭夫訳

『生命とは何か 物理的にみた生細胞』岩波文庫、2008年5月

 我が家には昭和初期くらいまでの古いものをまとめて保管している場所がある。ある日、引き出しの中身を整理していたとき、引き出しの底にまるで昨日届いたかのような真新しい東京日日新聞が敷かれ、その隅っこにほとんど崩れかかった蛾と思われる虫の死骸を見つけた。私は真新しい昔の新聞と風化した死骸のコントラストが美しくて見入ってしまった。この風化の様子は生命によって維持された秩序が、死により時間とともに無秩序化していくことを表している。すなわち、生命とは生体内での秩序を維持するための機構といえるのだろう。そんな考えを物理学の観点から考察したのがシュレディンガーである。  

 彼の名を冠したシュレディンガーの波動方程式で有名なエルヴィン・シュレディンガーは量子力学の大家である。そんな彼のダブリンのトリニティー・カレッジで行った生物学に関する講演を元にして執筆された著書が今回紹介する『生命とは何か(原題 What is life?)』である。  

 彼は著書の中で生物内での分子の挙動が物理法則にみられるような統計学的法則とは異なって秩序的に行われている点から、生物の法則は秩序化するための仕組みがあり物理法則と異なることを指摘している。そこで彼が着目したのが非周期性結晶としての遺伝子であり、染色体こそが遺伝子として生物の設計図たることも述べている。今日の生物学を知っている者からすれば、当時の技術や知識でここまで予測した彼の先見の明には驚かされる。さらに生物の秩序性について熱力学的考察も加えている。熱力学第2法則によりエントロピー(無秩序さ)は増大して平衡状態に至ることが知られているが、シュレディンガーは「負のエントロピー」という概念を提唱した。すなわち、生体内のエントロピーの増大を負のエントロピーを取り込むことにより相殺することで生物は秩序を保っているのである。すなわち負のエントロピーの取り込みが停止した生物は熱力学第2法則にしたがって無秩序さが増大して平衡に達するのである。  

 彼のこの視点は多くの物理学者を生物学に向かわせ、分子生物学の礎を築くことになった。分子生物学は今日では臨床にも応用され、皆さんご存知のコロナウイルスのリアルタイムPCRもこの分子生物学の発展の成果である。

 技術は常に新しいものが求められ、古いものは倉庫でほこりをかぶることとなる。そんな中にあって、多くの物理学者に生物学分野での新たな物理学の可能性を示し、分子生物学が生まれるきっかけとなった該書は、その思考過程や視野の広さから初版から80年近くたった今でも色褪せることのない名著である。難解な部分も多いが物理学に自信のある諸氏に是非ともおすすめしたい。  

 我が家の引き出しの中には虫に食われた本もある。本を食べた虫は紙を摂取することで負のエントロピーを摂取したであろうが、残念ながら本に記載された情報という負のエントロピーを得られていない。私たちは本に記載された情報という負のエンタルピーを自分に取り込むことできる唯一の生物なのである(注・本の虫にとっては本の情報が生命を維持するために不可欠な負のエンタルピーとなりうるという比喩表現です)。皆様、生きる糧としての読書を愉しみましょう。

(医療技術学部 時田 佳治)

 

 

鷹取敏昭監修・著 岡本真なみ・福間みゆき共著『医療&介護 職場のルールBOOK』

医学通信社 2017年9月  

 どこの職場で働くにせよ、必ず職場には「ルール」があります。例えば、本書のタイトルにもある医療現場や介護現場を考えてみても、仮にお互い違う考え方や価値観で仕事をすれば秩序がなく、また統一性のないサービスを提供することになり、結果、患者さんや利用者さん、さらにはご家族から不満や苦情、クレームを受けることにも繋がります。そこで、必要となるのが職場の「ルール」なのです。

 いうまでもなく、さまざまな経験や資格を有し、年齢層も異なる多くの職員が集まる医療・介護現場で秩序や統一性を保つことは容易なことではなく、いかに職員一人ひとりが、職場のルールの意義や必要性を認識し業務に従事するかが大切であると考えられます。

 そして、ルールを基に職場の規律やチームパフォーマンスを高めていくための仕組みを考えていくことも医療・介護職には求められます。

 本書では、ルールの必要性はもとより、「仕組み」を考え、また見直すうえでのヒントとなるさまざまな情報、さらには社会人としての基本事項、基本マナーなどについても詳述されています。  

 大学・短大卒業後、対人援助の専門職となる在学生、高校生のみなさんには、まず「組織に属し働くということはどういうことか」を理解・認識してほしいという意味も含め本書を紹介させて頂きます。

(短期大学部 土屋 昭雄)

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会