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授業情報 LESSON

授業情報
2021.07.20
読書の愉しみpart6~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

冨谷 至『四字熟語の中国史』岩波新書、2012年2月
 四字熟語とは、四つの漢字が一体となることで初めて特別な意味を持つ言語表現である。本書では、一般によく知られている四字熟語を中心に、その歴史的背景や意味の変遷について述べられている。
 その内容は大変興味深く、知的好奇心を大いに刺激されるものであるが、1つの四字熟語につき、5頁ほどの分量であり、気軽に読むことができるのも魅力的である。本書は「論語」の 子日 温故而知新 可以為師矣 という条文の中に見える言葉 「温故知新」から始まる。あまりにも有名な四字熟語であり、改めて説明されることもないと思われるかもしれないが、そこは著者の腕の見せ所である。思わず首を縦に振ってしまうに違いない。
 また、熟語とはなっていないが広く知られている四字の表現も含められており、興味は尽きない。それは、四字熟語または四字句を通して、日本も含めた東洋文化の風景を眺めることができるからであろう。

(社会福祉学部 梅山 文秀)

 

 

ジョン・P・コッター、ホルガー・ラスゲバー、藤原和博訳『カモメになったペンギン』
2021年7月
 皆さんはこのタイトルを見て、エ~!て思いましたか?なぜペンギンがカモメに?これらは正しい反応だと思います。この話は寓話として理解してください。
 昔々、氷に覆われた南極の氷山にペンギンのコロニーがありました。このコロニーには268羽のペンギンが暮らしており、まるで大家族のようでした。これまで彼らはずっとここで暮らしてきましたし、これからもずっとこの氷山で暮らすと信じていました。なぜなら、まわりの海にはエサとなる魚が豊富にいて、氷山はペンギンたちを冬の嵐から守ってくれたからです。
 普通、ペンギンたちは、エサを求めて海に出るのですが、あまりそのような行動をしないペンギンがいました。彼の名はフレッドです。周囲からは変わり者と思われていましたが、フレッドの好奇心と観察力は並外れて優れていました。彼の関心はいつも氷山と海についての研究にありました。そんなフレッドがある時、氷山が溶けている!もうすぐ崩れるぞ!!という事実を発見してしまったのです。さあ大変です!この後、フレッドはどのような行動を執るでしょうか。またこのコロニーはどうなっていくのでしょうか。あなたならどうしますか?
 この本は、難しくいうと「変革のプロセス」について説明しているといえます。しかし、学生の皆さんがサークル運営でもう嫌だと思ったとき、大学祭のとりまとめで行き詰ったとき、部活のキャプテンとして困ったとき、この本を手にとってみて下さい。きっと勇気が出ると思います。薄くて絵本のようですからすぐに読めます。まずは、ペラペラっとページをめくってみてください。

(看護学部 巴山 玉蓮)

 


今泉忠明監修『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』高橋書店、2016年5月、関連するざんねんシリーズ有り、参考に。
 今、小学生たちに評判の本と聞き買って読んだ。笑い、感心し少し気持ちも悪くなったが不思議と清涼感が残った。
悪い癖で、この今の気持ちはどこから来るのかと自己分析を始めた。こうやって物事を斜に構え、見る癖は長い精神保健福祉の世界でいつの間にか身について来たものであろう。そして精神保健福祉援助技法、中でもグループワークの介入で「水を差す」ことの意味を思い起こした。みんなで盛り上がっている。話し合いが佳境に入ったとき不思議と誰かが「水を差す」役割を取る。そして頭を冷やされる。そうすることで新しい発見が生まれる。花も水を差されると生き生きしてくる。この本を読み終わって、おっつ!頭が生き生きしてきた。
 ぜひお勧めしたい。

(社会福祉学部 鈴木 秀夫)

 

 

東野圭吾『危険なビーナス』講談社2019年8月
 ある日、いつものように動物病院で診察をしていた伯朗(30歳)。そこに弟の妻を名乗る謎の美女・楓が突然現れ、弟・明人が失踪したことを聞く。さらに楓は、明人の失踪には親族の誰かが関わっているのではないかという。矢神家の血を引く明人には総額30億円とも言われる遺産の相続権があり、当主が危篤状態にある今、その遺産を狙う親族が明人をさらったかもしれないと楓は訴える。
 八神楓は、明るく聡明な女性だが、どこかミステリアスな雰囲気を放つ。キャビンアテンダントとして働いていた時にバンクーバーで明人と出会い、結婚。それ以降は仕事を辞めて、IT関連の仕事をしている明人の仕事の補佐をしている。
 明人の父が危篤だと聞き、結婚の報告も兼ねて一緒に日本へ帰国した。伯朗は、もう矢神家とは関わらないと決めていたが、困っている女性を放っておけないらしく、楓と共に矢神の屋敷へ向かう。伯朗は楓に頼まれ協力はするが、時が経てば経つほど彼女に惹かれていく。楓は本当に明人の妻なのか。全ての謎が明かされ、ラストには驚愕の結末が、残り20ページのどんでん返し。最後まで目が離せない。
 高校生の娘が2年前この本を買っており、私はテレビ放送を見た後に読んでみた。一度テレビや映画で上映された作品はその印象が自分の中に残っている。その作品の文庫本を読み始めると、画像で見たストーリーが思い出されてさらに作品を楽しむことができるのではないでしょうか。

(看護学部 小野 智佐子)

 

 

小松成美『虹色のチョーク-働く幸せを実現した町工場の奇跡-』
2017年5月、幻冬舎
 私たちが、毎日触れるチョークがこんなに素敵な会社から生まれていたと知れる1冊である。この会社は、従業員83名のうち、62名が知的障がい者で生産ラインの100%の担い手である。障がいを持つ方々に合わせた作業工程の手立てを工夫することで格段に作業効率が上がり、彼らの持つ正確さや粘り強さが生かされている。社長の信念と人間を見る洞察力と人情と努力を感じる。こんな会社に勤めていたら「幸せ」ときっと誰もが思うだろう。
 本文では、会社経営と福祉実践のターニングポイントがある。「障がい者は施設にいる方が幸せであるのではないか?」「時には叱られながら、なぜ会社で働くのか?」で考えさせられる。「人は仕事をすることで人の役に立つ、また、褒められて、必要とされるからこそ、生きている喜びを感じる」ことができる。家や施設で保護されているだけではこうした喜びを感じることはできない。このように職業を持って、必要とされる喜びを知った彼らだからこそ、懸命に働いてくれる。
 私も、彼らから働く幸せ、人の役に立つ喜びを教えられた。また、ここで働く従業員の生い立ちや家族ドキュメントに現実味があり、とても心が感動する。「人は人に必要とされてこそ、幸せを感じられる。遣り甲斐があると感じられる仕事があってこそ、誇りを持てる」
講義で黒板を前に、チョークを持つと自然に「ありがとう」と言ってしまう自分がいる。

(短期大学部 福田 智久)

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会