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授業情報 LESSON

授業情報
2021.07.27
読書の愉しみpart7~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

海堂尊『チームバチスタの栄光』宝島社、2006年1月
 天才心臓外科医・桐生恭一が率いるチームバチスタ。難易度の高いバチスタ手術を連続26例成功させ、メディアでも「チームバチスタの奇跡」と称賛された。ところが立て続けて三例、術死が起こってしまった。執刀医の桐生には錯誤した手ごたえがない。一連の術死は、単なる不運か、医療ミスか、あるいは殺人か。不定愁訴外来の万年講師・田口公平に、高階院長より調査の依頼がくる。厚生労働省のハチャメチャな役人・白鳥圭輔が加わり、調査は一気に核心に迫っていく。
 第4回「このミステリーがすごい」大賞を受賞し、のちに映画化・テレビドラマ化もされた、傑作医療ミステリーです。
 作者の海堂尊は外科医・病理医としても活躍し医療現場を熟知されている方で、作中には大学病院の複雑な人間関係や、リアリティ溢れる手術場面が表現されています。正確な医療描写とはうらはらに、キャラの立った登場人物がユーモラスに描かれ、肩肘張らない良質なエンターテイメント作品になっています。
 作中には臨床工学士・臨床検査技師も登場します(以下、本文より一部抜粋)。
 臨床工学士 羽場貴之室長(53)チーム最年長。人工心肺のスペシャリスト。手術室のリスクマネージャーも兼任。人工心肺は手術室の心臓。彼の技術が手術時の患者の命に寄り添う。
「羽場さんは何をご研究されているのですか?」
羽場はとまどった。どこから説明するべきか悩んでいるようだ。
「臨床工学士になる前、私は臨床検査技師だったんです」
「血液検査や生化学検査部門ですね」
「他にも、心電図、呼吸機能も検査します。病理検査も対象です。私は病理出身で、ジュニア、---じゃなくて、」---。
 緊迫する医療現場を臨場感をもって感じることができる作品です。是非一度、手に取ってみてください。

(医療技術学部、磯 達也)

 

伊藤亜紗『記憶する体』春秋社、2021年2月
 視覚障害、吃音、骨肉腫で腕を切断、事故による足の切断、幻肢痛、難病、アルツハイマー型認知症など、障害のある人の体に刻まれた記憶と自身の体を使いこなす11人の当事者のエピソードが紹介されています。メモを取る中途障害(人生の途中で障害を負うこと)の全盲の女性、点字の数字と文字を読むときに頭の中で色をイメージするエンジニア、VR利用の体験で幻肢痛を緩和する人など、自分の体の不自由をどのように感じ、どのように対応してきたかが書かれています。痛みのメカニズムに気づくことで、自分の体に起こる出来事のとらえ方が変わると。
 「障害=助けを必要とする人」と考えがちですが、「自分に合った独自の工夫をして自分とは違う時間の重ね方をした人」または、「自分とは違うやり方で自分の体を考えてきた人」として考えることができました。このように障害や症状に向き合い、自身で様々な工夫をする方に、作業療法士として何ができるか考えるきっかけをもらった1冊です。対人援助の仕事を考えている方はぜひ読んでみてください。

(リハビリテーション学部 悴田 敦子)

 

D.ロウントリー (著)加納 悟 (翻訳)『新・涙なしの統計学』新世社、2001年12月
 みなさんは統計学に対してどのような印象をお持ちですか?見たことのない記号や複雑な数式が登場して、苦手意識をお持ちの方も少なくないのではないかと推察いたします。特に本学の医療・福祉系の学生は、統計関係の科目が国家試験の試験科目に含まれていないことが多いため、統計学を学ぶモチベ-ションが高まらないかもしれません。
 しかしこの本では、難解な統計学を数式を使わずに、直観的に理解しやすいように解説されているため、統計学的な思考を身につけるのにお勧めできる本です。15歳児を対象にしたOECDの学習到達度調査(PISA)で国際比較をすると、日本人は数学の実力は高いが、「興味・関心」は低い傾向にあるようです。しかし、教材を工夫することで、苦手意識のある科目を、ストレスを感じずに学習することができると思います。人気がある本を選んだり、書店や図書館で複数の本を見比べ、直感的に自分に合いそうな教材を選ぶのも良いと思います。また一度選んだ教材が自分に合わないと感じたときには、別の教材に挑戦することも有効です。自分にとっての苦手科目こそ、自分に合った教材を探す努力を惜しまない方が良いと思います。

(社会福祉学部 白石 憲一)

 

ヘミングウェイ(著)高見浩(訳)『老人と海』新潮文庫、2020年6月
 みなさんは老後の生活を想像したことがありますか。多くの方が、若い頃から老後のためにと蓄えた資金を使い、なるべく人に迷惑をかけないで安心・安全な生活を送るように心がけるのではないでしょうか。
 この本は、老後に対するイメージを大きく崩される衝撃の作品です。この本の内容自体は「大物の魚と格闘する老人」なのですが、一人暮らしの漁師の老人とその老人を気遣う少年のやり取りから読み解くと、人生観を改めて考えさせられました。まず、大物を狙って漁に出ていく様子は、いくつになっても冒険心は何かのタイミングで芽生え、その目的達成のためにやんちゃをしたり、挑戦する自分を好きと思う場面があるのだなと思います。そこには、大けがをして多くの人々に迷惑をかけるかもしれないリスクがありますが、目標を達成したときの喜びをイメージして進み続けます。大物の魚と格闘する過程で、何度もピンチが襲い、自身と獲物の魚の体が傷めつけられる体験から、生きるのに投げやりになったりしますが、やり出したからには引けないプライドとの葛藤から、生々しく人生について自問自答する様子が描かれています。大物の魚との格闘は残念な結果に終わってしまうのですが、諦めないで挑戦し続けた自分を誇りに感じるところでは、形に残る結果だけが重要ではないことを改めて思い知らされました。そして、その葛藤の中、生きようとする大きな動機付けは少年の存在でした。
 私たちリハビリテーション専門職は、どうしても再度けがや病気をしないように安全、健康的な活動を提案します。しかし、この老人のように、ヒトは好奇心を持ち続け、時に危険を冒しても自分あるいは誰かのためになる活動を希望します。もちろんけがや病気の予防は大切ですが、この老人のような人生背景やその方の役割を理解し、やりたい活動に関わって頂けるように支援することが重要ではないでしょうか。

(リハビリテーション学部・宮寺 亮輔)

 

清水茜『よくわかる!「はたらく細胞」細胞の教科書』講談社、2019年5月
 この本はその漫画「はたらく細胞」をベースに、細胞・呼吸・血管・消化などの基礎的な人体の仕組みが学べる、楽しい教本、教科書になっています。
 人体の仕組みを覚えるのは意外に大変です。しかし,医療系の学問を学ぶうえで,生物や、解剖学の基礎知識である人体の仕組みはしっかり学ぶ必要があります。
 しかし、この本は、人体の仕組みを擬人化した細胞、キャラクターが、わかりやすく,楽しく胞・呼吸・血管・消化などの基礎的な人体の仕組みを解説してくれるため、イメージがしやすく、本当に楽しく学ぶことができます。
 生物が苦手な中学2年生~高校生に本当にお薦めです。カラー図版が多く、わかりやすい内容で、中学2年生理科(生物分野)の教科書にも一部対応しています。ヒトのカラダを理解するための入門書として本当にピッタリです。生物の勉強に、医療系を目指す、学ぶ学生の皆さんにぜひ読んでいただきたいと思います。併せて原作の漫画もお薦めします。勉強の気分転換などに利用されてみてはいかがでしょうか?気分転換に生物の勉強も出来て、一石二鳥です。

(短期大学部・淡島 正浩)

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