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授業情報 LESSON

授業情報
2021.08.03
読書の愉しみpart8~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

クリストファー・ロイド著・野中香方子訳
『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』2012年9月、文芸春秋社
 タイトルの通り、この本では、ビッグバンから現在までの歴史が扱われています。のべ500ページで電話帳みたいな厚さの本です。しかしながら、オールカラーで500点以上の図版が用いられているせいか非常に読みやすくなっています。
 本は、第一部 母なる自然、第二部 ホモ・サピエンス、第三部 文明の夜明け、第四部 グローバル化、4つのブロックからなり、42のテーマが論じられています。
 歴史というと、教科書のように人名や出来事の羅列を連想しますが、本書では、42のテーマが問いの形となってたんある羅列に意味を持たせています。たとえば、「宇宙ができてからどのくらいたつのか」「地球上の生命はいつ誕生したのか」「人類の最古の祖先は誰なのか」「古代中国の科学技術はどのように近代世界の形成に貢献したのか」「なぜ民主主義はギリシアで芽生えたのか」「人間は本当に他の生き物よりすぐれているのか」といったテーマが論じられ、またテーマどうしが重層的に結びついていたりします。
 歴史が得意だった人も、苦手だった人も、一度この本を手にすることを勧めます。歴史の本で無視されがちであった「なぜ」に答えようとする筆者の熱意に心打たれます。また、本書は、ベストセラーになっただけあって関連のテレビ番組も日本版で作られています。そちらもインターネットで検索すれば出てきますのでおすすめしておきます。

(社会福祉学部 大野 俊和)

 

BJギャラガー&ウオレン・H・シュミット、田中一江・訳『ペンギンの国のクジャク』
扶桑社、2002年2月
 組織の海に浮かぶ、ペンギンの国あり、ある日、一羽のクジャクがスカウトされてペンギンの国にやってきた。ところが才気煥発で華やかなクジャクは、才能をみとめられながらも、その異端ぶりがペンギンたちを落ち着かせない気分にさせる。そして、ペンギンらしくふるまわなければ成功することができない。そこで、一羽のクジャクはどんなに頑張ってもペンギンスタイルになじめずクジャクはジレンマにおちいった。そこで、最後にクジャクはペンギンたちに自分を変えたいペンギンにいくつかのヒントを提案する。1つ目に、自分がそういう偏見をもち、どういう態度をとっているかに目をむけよう。悪いことは素直に認めて、そういうところがあることを意識しよう。自覚は、自己革新への第1歩。2つ目として快適ゾーンから踏み出そう。守備範囲を出て、自分と異質な人々と過ごしてみるなど。一方、ペンギンの国を変えたいペンギンのためのヒントを提案する。毛色の変わった鳥たちが才能やアイデアを出し合う機会を作ろう。また、小さな成功を祝福しょう。それが個人的なものであっても、ペンギンの国のものであっても同じように喜ぶこと。
 変化には、障害や痛みがつきものである。常に新しいものの考え方などを持ち続けることの大切さ。

(看護学部 佐藤 充子)

 

大野萌子『よけいなひと言を好かれるセリフに変える 言いかえ図鑑』
サンマーク出版、2020年8月
『無意識に使っている言葉が、あなたの印象をつくっています』
 「そんなつもりで言ったわけじゃないのに、怒らせちゃったな」「なんかうまく伝わらないなあ」みなさんは人とのやり取りでそんなふうに感じたことはないですか?言葉は、人と人とのコミュニケーションに欠かせないツールの一つですので、使わないわけにはいきません。しかし、使い方を一歩間違えると人間関係にヒビが入ってしまうこともあります。このことを心配できている方は、大きな失敗に至ることは多くはないのですが、うまく伝えられるか心配だという方は、言いたいことを我慢して、人と話すことを避け、ますます分かり合えるチャンスを失っている場合もあります。これは、とてももったいないことですが、実は、怖いのは相手をイラッとさせることの言っている自覚がない方です。自分では気づかないうちに、無意識のうちに、よけいなひと言を口にしてしまっていることも少なくありません。言いたいことを伝えつつ、相手に信頼感や安心感を与えられるような言い方を、ひとつでも多く身に付ける必要があります。これは、対面でのやり取りだけでなく、今や当たり前となっている、メールやSNSで連絡を取り合うときも同じです。
 コロナ禍では、人との対面でのやり取りがますます減ってきており、情報量が少ないために誤解を招きやすいメールやSNSに頼らざるを得ない状況になってきています。好印象を与えるひと言は、相手を傷つけることなく、素直に納得してもらうことができます。このようなコミュニケーションのコツが身につくと、周りからも好感を持ってもらえ、信頼関係を築けるようになってきます。
医療や福祉に携わる仕事では、よく【相手の立場に立って】物事を考えることを求められます。そのためには、相手を思うことはもちろんですが、自分をないがしろにせず、自分自身の気持ちに向き合うことが大切です。コミュニケーションは【お互いさま】。自分の意志や思いを把握できてこそ、相手にそれを伝えることができます。ですから自分のためにも自ら発する言葉に注意を向けることが大切です。この本を読んで、ちょっとした言いかえで、みなさん自身も周りの人もHAPPY!になりましょう。

(リハビリテーション学部 榊原 清)

 

コンラート・ローレンツ『ソロモンの指環―動物行動学入門』
ハヤカワ文庫NF、1998年3月
 私たちが社会生活を送る上で他者とのコミュニケーションは欠くことのできないものです。そのため、多くの人がコミュニケーション能力を向上させたいと思っているのではないでしょうか。コミュニケーション能力には様々な要素が考えられますが、その中でも「観察力」は重要な要素の一つと言えるでしょう。卓越した「観察力」をもってすればコンラート・ローレンツのように鳥や犬、魚などの動物たちとだってコミュニケーションできるのです。
 コンラート・ローレンツは動物行動学を確立した著名な研究者であり、1973年「個体的および社会的行動様式の組織化と誘発に関する発見」によりノーベル生理学・医学賞を受賞しています。彼が著したこの「ソロモンの指環―動物行動学入門」では、魔法の指環(旧約聖書に登場するソロモン王がもつ指環で、この指輪をつけると動物たちと話すことができたとうい伝説がある)などなくとも、目の前の相手(動物)と向き合って丹念に観察することでコミュニケーションをとることができること、そして、そこから得られた事実は動物たちの社会だけでなくヒトの社会にも通じるものであることがユーモアたっぷりに語られています。
 「他人とコミュニケーションをとることすら難しいのに、動物とコミュニケーションってどういうこと?」と思うかもしれませんね。相手が何を、どのように思っているのか?また、どのような目的で、どんなことをしたいのか?…などをつぶさに観察し、それらを分析することで、相手の気持ちをより具体的に考えることができ、より良いコミュニケーションを図ることができるでしょう。ヒトも動物の仲間です。ローレンツが動物を対象として行なった観察の中に、ヒトとコミュニケーションをとるために役立つ「観察力」についての重要なヒントが隠されているかもしれませんよ。

(医療技術学部・倉知 正)

 

関根健夫・杉山真知子『イラストでわかる介護・福祉職のためのマナーと接遇』
中央法規2017年8月
 「人の第一印象は、出会いから3秒で決まる」と言われています。またメラビアンの法則においても、視覚からの情報が55%、聴覚からの情報が38%、話の内容が7%と提唱されており、90%以上の情報が、話の内容以外からとなります。さらに特筆すべきこととして、話をしている時の印象として一番相手に伝わるのは、会話の内容といった言語の情報や声による聴覚の情報よりも、見た目から受ける視覚の情報が大半を占めるということが挙げられます。つまり相手に与える印象としては、まず一番先に入ってくるのが視覚からの情報であり、身だしなみや表情、態度などが非常に大切だと言えます。
 非言語の一つとして、身だしなみや相手の表情、態度があります。身だしなみは、清潔感や安心感が重視されるため、相手に不快感を与えないように髪型や服装などに注意をして、TPOにあった身だしなみを心がけます。表情は、笑顔が基本であり、優しさや温かさなど、安心感や信頼感を相手に与えることができるため、表情によって相手に対し、はじめから悪い印象を与えないように心がけます。態度は、姿勢や行動などの立ち振る舞いのことをいい、普段の何気ない行動は、周りからいつも見られており、その気持ちは自然と態度に表れ、意欲や熱意などを判断されることにもつながります。相手に誤解されない行動をすることを心がけましょう。
 この本は、介護・福祉職向けの書籍ではありますが、社会人として身につけておくべき内容ととらえることができます。対人援助職を目指すみなさんをはじめ、多くの人たちにも幅広く活用できるものと考えます。利用者・患者や家族の気持ちに寄り添い、思いやりを持ち、信頼関係の構築に努めることができる本であると思います。

(短期大学部・矢嶋 栄司)

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会