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授業情報 LESSON

授業情報
2021.08.11
読書の愉しみpart9~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

佐藤康雄『なぜ、その「決断」はできたのか。』中央経済社、2012年9月
 私たちが生活を送る中で、判断に迷い、判断しなければならない、自分の意志で決定しなければならない、そんなときが少なからずあると思います。
 その時、私たちに迫られるのは「決断」です。
 今回ご紹介する本は、東日本大震災時に福島第一原発・燃料棒の冷却任務を遂行した消防隊、そして、その指揮にあたった警防部長の話です。
 私たちの忘れることのない、風化させてはならない未曾有の災害に、人命救助、地域の安全を最優先して立ち向かった消防隊員、そして、その指揮を執った警防部長、彼らは任務成功までにどのような決断を下したのでしょうか。
 警防部長は指揮を執る際、常に「いかに隊員の安全を確保し」、「想定を超えた突発的事案発生時の対応をいかに決断するか」、「自分の決断と部隊の行動のすべてに、いかに責任をとるか」の3点を自らの任務と課しています。これらには一時の感情や判断で対応することは難しく、知識や技術に基づく冷静な判断、経験、あきらめない気持ちが任務成功へと導いています。
 この危険な場所でも立ち向かう精神力は計り知れないものだと推測できますが、一体どのように身に付けたのでしょう。興味深いものです。
警防部長は、成功よりも失敗から学び続け、そして、「部下を預かった者には、部下とその家族を守る強い気概が求められる」、「組織目標を達成するためには、いろいろな能力が必要とされるが、一言でまとめるならば【人間力】に帰結する」と言っています。
 【人】として、どう【人】と接し、関わるか、そのために自分がどのような思いを持ち、行動するか、私たちが生活を送る中で大切な部分に触れたように感じます。
 皆さんも「決断」をしなければならないときが訪れるかもしれません。様々な経験を通して最良な「決断」ができることを望んでいます。

(社会福祉学部 鈴木 靖弘)

 

 

リチャード・カールソン=著、小沢瑞穂=訳、大石暁規=絵
『[絵本]小さいことにくよくよするな!』サンマーク出版、2004年11月
 この本は1時間で読め、挿絵に癒され、元気が出るサプリ絵本です。大学生・高校生の皆さん、提出課題がたまった時、人間関係に悩む時、だらしない自分に滅入る時等、この本を気軽に開いてください。必ずや50の珠玉のフレーズが、あなたを前向きにしてくれるでしょう。以下、私のお薦めのフレーズを3つ紹介します。
 一つ目は「『できない。』と言うとできなくなる」です。これは「ゴーレム効果」と言われ、教師がこの子は何をやっても駄目と決めつけると子供は伸びないというものです。逆に、「ピグマリオン効果」では、教師が子供の可能性を信じると伸びることを説いています。この効果を自己奮起に活用し、「たまった夏休みの課題、私には無理。」と言わず、できると信じ自分を追い込んでみませんか。きっと、課題を達成できた自分が好きになります。
 二つ目は「毎日少なくとも一人、いいところをほめる」です。友達、そして、ちょっぴり気恥ずかしいけれど、両親やきょうだいの行動を観察し、良い所を探してみましょう。「髪の毛、切ったね。とっても似合うよ。」「お母さんのお弁当、友達にも評判よかったよ。」「テストで90点が取れたよ。お兄ちゃんのアドバイスのお陰だよ。」等小さなことで構いません。ほめ言葉は、人間関係の潤滑油です。大人だって、ほめられると嬉しいものです。
 三つ目は「早起き鳥になる」です。日本の諺に「早起きは三文の得」があります。これを英訳するとThe early bird catches the worm.となり、やや物欲的になります。しかし、熟睡し早く起きた朝の脳には良いアイディアが浮かび、読書も捗ります。また、朝食もきちんと取れ健康管理ができます。さらにゆとりを持った学習準備や安全な通学もでき、まさに「早起きは三文の徳」です。
 東京オリパラのテレビ観戦の合間、是非、この絵本を手に取ってみてください。

(社会福祉学部 時田 詠子)

 

 

西田亮介『不寛容の本質 なぜ若者を理解できないのか なぜ年長者を許せないのか』
経済界新書、2017年
 平成から令和の時代において、時代は目まぐるしく変化したように感じる。便利で豊かになったこともあるが、今まで感じなかったような生きづらさを感じるようにもなった。特に最近気がかりなのは、「人が人を許すことができない不寛容な世の中になっているのではないか」ということである(不寛容:心が狭く、人の言動を受け入れないこと。他の罪や欠点などを厳しくとがめだてすること。また、そのさま)。
 例えば、昨今ソーシャルネットワーク等での炎上案件は徹底的に叩かれ、犯人探しが行われ、対象となった人物はメディアから早々に姿を消すという事態は珍しいことではなくなった。また、2016年に起こった相模原事件は極端な例かもしれないが、これも自分の意にそぐわない者に対する「排除」が犯人の犯行動機となっている。「最近の若者は・・・」問題、「働かないおじさん」問題といったジェネレーションギャップからくる軋轢も前述した疑問に関連するかもしれない。こうした例は、挙げればキリがない。
 では、なぜ人は人を攻撃し、排除しようとするのか。その背景にあるものは一体何なのか。一通り、本書を読み終えたところで、私の疑問がすっきりとしたわけではなかったが、それでも、変革期にあり、見通しの立ちづらい不安定な日本の状況が人々の「不寛容さ」に影響していると感じたし、今後もしばらくはその不安定さは続くのだということが理解できた。
私たちリハビリテーション専門職は、職業柄、誰もが分け隔てなく生活できる共生社会を目指しているが、クライエントがバリアフリーに暮らす社会を実現するためには、まだまだ模索の道が必要そうだ。ただ、本書はそうした社会の実現に向け一つのヒントになったことは間違いない。

(リハビリテーション学部・高坂 駿)

 

 

フランクリン著 渡邊利雄訳・解説『フランクリン自伝』
中央公論新社、2004年12月
「アメリカの渋沢栄一ベンジャミンフランクリン」
 10歳から家業の蝋燭造りを手伝い、12歳で印刷工見習いになったベンジャミンフランクリンが、79歳でアメリカ・ペンシルベニア州知事に至る自伝書である。ベンジャミンフランクリンは、雷が電気であることを証明し、避雷針を発明した科学者でもある。1747年に雷の研究を始め、1751年に研究内容をロンドンで初めて発表した。この年は、彼がペンシルベニア大学(当初はフラデルフィアアカデミー)を創立した節目でもあった。その後多くの実験内容を書蘭にしてイギリスの王立アカデミーに送付している。この書蘭はその後製本されて出版されているが、私はこの本を、スイスの雷研究仲間の家で見せてもらったことがある。当時アメリカはイギリスから独立していなかったため、王立アカデミーの評価は絶対的なものであった。当初王立アカデミーの対応は冷たいものであったが、1753年に認められて金メダルを授与されると共に会員に推挙されている。またハーバード大学、イエール大学及びオックスホード大学から名誉学位を授与されている。
 その後独立宣言書の5人の起草者の一人となり、1776年独立宣言を行う。1776~1785年までアメリカ大使としてフランスに滞在し、1783年パリ協定で正式にイギリスからの独立を実現している。フランスがイギリスからの独立を政治的・経済的に支持したためであり、ベンジャミンフランクリンのアメリカンドリームへの功績が光る。帰国後の1785~1788年の間、ペンシルベニア州知事を歴任している。
 ベンジャミンフランクリンは、現行アメリカ紙幣の最高額100ドル札の肖像になっており、名実共にアメリカの渋沢栄一である。

(医療技術学部 木島 均)

 

 

伊吹有喜『犬がいた季節』双葉社、2020年10月
 私は犬が大好きで、題名に惹かれて読み始めました。高校で拾われ育てられた犬のコーシローと、昭和63年から平成12年までの八稜高校の高校生の青春の関わりの小説です。
 美術室で飼われ、代々の美術部員たちに育てられたコーシローからみた高校生が描かれています。15歳から18歳までの高校生の悩み、夢、挫折などが丁寧に描かれ、その場には常にコーシローがいる。言葉は話せなくても、その温かい眼差しが高校生たちに安らぎと勇気を与えてくれている様子が、まるで紙芝居でも見ているように伝わってきました。
 「明日がどうなるか、誰にもわからない。だから必死に学んで、これからこの手を変えていく。生きているもののぬくもりを守る手に。明日の行方は、この手でつかむのだ。」の一節にあるように、高校生が不安や困難に遭遇し、揺らぎながらも、自ら考え、自ら行動しようとする姿に胸が熱くなりました。 私は本学の学生に日頃から、自ら考える力、諦めない心を身に付けて欲しいと願っています。己の生き方は最終的には己しか決められないのですから。
 本書の最終章は、令和1年、八稜高校創立100周年記念式典に、社会人となった卒業生が集合します。誰もが自分で決めた人生を恥じることなく堂々と歩んでいました。
 読み終わった後、暖かい思いがいつまでも残り、若い君たちを応援したい気持ちでいっぱいになりました。進路に迷いや不安を感じている人に読んで頂きたい1冊です。

(短期大学部・清水 春代)

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会