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授業情報 LESSON

授業情報
2021.12.20
読書の愉しみpart17~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

加藤容崇『医者が教えるサウナの教科書』ダイヤモンド社、2020年10月
 サウナに魅せられて、リピートする人が急増しています。1964年の東京オリンピック直後に起こった第1次ブーム、スーパー銭湯の開設が相次いだ90年代の第2次に続き、今回は第3次ブームと言われていました。都市部の施設に愛好家が押し寄せて、場所によっては予約待ちでなかなか入れなくなるなど、サウナ熱は最高潮に達しつつありました。しかし、コロナ禍による影響はないとは言い難いこのご時世です。そんな中でも、サウナに魅せられてしまう人は多く、個室サウナ施設までワイドショーで紹介されていました。
 今回、サウナにまつわる多くの図書から推薦したいのは、群馬県富岡市出身の慶応義塾大学医学部腫瘍センター特任助教・日本サウナ学会代表理事(通称サウナ教授)が書いた本です。この本では、サウナがビジネスのパフォーマンスを上げる医学的根拠が、次々と明らかになっていると書かれています。サウナでいう「ととのう」時の脳内で起きている構造や正しいサウナの入り方まで紹介されています。私が興味深いと思ったのは、女性のほうがサウナの感受性が高く「ととのい」やすいことです。特に女性にとっては、肌が綺麗になり、痩せやすい体質になるという効果も魅力的でした。
 今までサウナはおじさんの娯楽というイメージが少なからずありましたが、この医学的根拠を基にした本書を読み、サウナの魅力を知ることが出来ました。アフターコロナの楽しみの1つになるお勧めしたい一冊です。

(看護学部 小松 由利絵)

 

 

ミランダ・ポール=文、エリザベス・ズーノン=絵、藤田千枝=訳
『ポリぶくろ、1まい、すてた』さ・え・ら書房、2019年2月発行
 皆さんは、普段エコバッグを使っていますか?
 2020年7月1日から、スーパーやコンビニエンスストア等ではレジ袋が有料化となりました。買い物に行くときには、エコバッグを持って行くことも増えたのではないかと思います。私自身も、マイバスケットやエコバッグを使う機会がとても増えました。
 普段、何気なく使用していたレジ袋ですが、この本は、西アフリカにあるガンビアという国で、ポリ袋が与える環境問題や人間や動物へ与える影響などの問題を提起しています。これらの問題に対して、女性たちが力を合わせて、立ち向かうお話です。1人では解決困難な難しい問題でも、みんなで力を合わせて、新しいことに取り組む勇気がもらえると思います。
 本大学では、将来医療・福祉・教育など、人と関わる職業に従事する学生が多く学んでいます。どの職業でも、一人で仕事することはできず、みんなで協力・連携して仕事をすることが大切です。その大切さが実感できる一冊でもあると思います。
 また、「SDGs」の貧困や、環境問題、経済成長、地球の資源など、色々な視点から考えるきっかけとなる本でもあるのではないでしょうか。
 この本は、絵本なので、読書の習慣がない人にも手に取りやすい一冊ですので、ぜひ手に取って読んでみてください。

(看護学部 橋本 明日香)

 

 

仲野 徹『こわいもの知らずの病理学講義』晶文社、2019年4月
 この本の題名を見ただけで、拒絶反応を起こしてしまう方がいるかもしれません。
私も書店で一般の書籍の中にこの本を見つけた時、「え?」専門書ではないのかと思いました。でも一般書としておいてあるのだから、きっとわかりやすいに違いないと思い、手に取ったのです。
 人は一生のうちに、一度も病気にならないということはあり得ません。病気になるのは嫌ですが、なってしまったとき、何がいけなかったんだろう?どうしたら治せるか?と考えませんか。私も看護師という資格を持っているので、病気になってしまった人たちから相談されることが多々あります。そんな時、一般の人でもわかるように説明することがとても大変です。この本の作者も、「ごく普通の人にも、ある程度は正しい病気の知識を身につけてほしいなぁ、誰かそんな本を書いてくれんかなぁ」との思いから、自分で書いてみようと執筆されたそうです。
 いろいろな病気がどのようにできてしまうのかについて、わかりやすく経験を交えながら面白く書いてあります。目次をながめて、興味のある所からでも読むことができます。医療職を目指す人ならば、必ず目にする名前が出てきますので、私もそこから読みました。
「がんは運である」の題名を見たときは、医師がそんなことを言ってよいのかと思いましたが、読み進めると納得の内容でした。
 題名だけにとらわれず、皆さんも手に取って興味を持ったところから読んでみてください。

(看護学部 松村 広美)

 

 

喜多川 泰『スタートライン一歩踏み出せば奇跡が起こる』
ディスカバー・トゥエンティワン、2012年7月
 みなさんは、自分に何が向いているのか、何が正しいのかと悩み、考えることが多くありませんか。そんなときに、誰かの言葉に心を動かされた経験はありませんか。
 この本は、「今の自分にできることで、自分の価値を判断しちゃいかん。五年後の自分の可能性をなめるなよ。」 という教師の言葉が、主人公の18歳のぼくの心を震わせ、五年後の将来までを描いた物語です。この主人公のように、心を動かされるような言葉に出会い、原動力となっている人もいるかもしれません。
 医療の現場では、この言葉が時には苦しい場面となることがあります。医療従事者は、どんな時も向き合い、寄り添うことが大切です。病院で勤務していた時私自身も告知などの悲しく苦しい場面も経験しました。また、時には患者さんから心を動かされる言葉をもらい、やりがいを感じ、更に専門性を高めようと一歩踏み出した経験があります。
 これから医療従事者を目指すみなさんには、相手に寄り添う言葉を大切にしてもらいたいと思います。また、進路に悩んでいるみなさんにとって、この本は一歩踏み出す勇気を与えてくれる言葉が詰まっている作品なので、読んでみてください。

(看護学部 角田 幸恵)

 

 

無着成恭『山びこ学校』岩波文庫、1995年7月
・無着成恭という人
 山形県山元村立山元中学校の教師時代(1948年)、生徒の生活記録文を編集して「山びこ学校」を1951年に刊行した。中学2年の生徒43名(1949年度)が農山村の生活に密着した学習を展開する中で生まれた綴方作品を教師の無着成恭が編集した。
 現実を直視した鋭い社会認識と集団的な教育実践は、社会的関心を呼び映画化(1952年)、演劇化、翻訳もされた。戦後の民主主義教育の実践として展開された「生活綴方」は後に「山びこ学校」として出版された。

・無着の「双方綴方」教育とはどのようであったのか
 本物の教育がしたいという願いから、社会科を手がかりにして生活綴方の指導を行った。
 無着はその〈あとがき〉で「綴方で勉強するために書かせたものではなく、ただ漠然と綴方を書かせてきたのでした。目的のない綴方指導から、現実の生活について討論し、考え、行動までも押し進めるための綴方指導へと移っていったのです。」といっている。最初から周到に準備しての実践ではなかった。しかし、そうした学習活動の中に意義を見いだし、教育の方法として結実させていくのである。
 「私は社会科で求めているようなほんものの生活態度を発見させる一つの手がかりを綴方に求めたということです。」そして、綴方作品を取り扱うときは、子どもの心理的な発達段階や家庭環境もみな違うということを承知の上で、同じような問題を含んでいる作品を並べて学級で討論させた。お互いの生きた生活感情にしみじみとふれあいながら、疑問を発展させた。疑問が別の方向に発展し、全く違った観点から発言が起こり、班が組織されて調査の期限が決定される。調査後の報告があり、課題・問題が実証されるという一連の教育活動が行われる。
 新たな疑問、新たな課題、枝葉に発展して行く難問に立ち向かって調べ、討論して現実的な結論を導き出す。さらには、その解決のための方策が幾通りも投げかけられて実践していく。討論は、教科書に書かれた問題の一つ一つを実証していく努力と、得られた結果(結論)に自信を持って提言実行していく態度を学び取っていくのである。

・無着の「授業」と「学級経営」
授業は学級を母体として行われることが多い。無着の学級経営の特徴は、学級自治会が提唱する以下の6つに集約される。
1 いつも力を合わせて行こう
2 陰でこそこそしないで行こう
3 いいことを進んで実行しよう
4 働くことがいちばんすきになろう
5 なんでも、なぜ?と考える人になろう
6 いつでも、もっといい方法がないか、探そう
子どもたちを励まし、教えを導いている。

・文部科学省第8次学習指導要領の改訂(小学校2020・中学校2021・高校2021完全実施)
 改訂の方向は「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」である。よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を共有して、社会と連携し・協働しながら未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現である。また、新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直しを行うことである。さらには、主体的・対話的で深い学びの視点から学習過程の改善を図っていくことを目指している。

・学習指導要領改訂に繋がる「山びこ学校」の実践
 教育実践(方法)の不易な営みが見えてくる。「授業」にあって、そして、「学級経営」にあって、その実践が教えてくれる。これから教師を目指そうとする者、いま教師という職にあって、その実践に悪戦苦闘している者にとって、実践の方法を示唆してくれる貴重な一冊である。学びは「まねぶ」からはじまって、オリジナルと化す。「まねぶ」にも学び手の創意工夫が必要なことは言うまでもない。
 最後に、「山びこ学校」本文より子どもたちが学びに夢中なっている姿を紹介して終わりにする。
「この本を読んでくれる全国のお友達へ」「手紙で(まだわからないことを)やりとりするようになれば勉強が、もっとゆかいになるのではないでしょうか」(山元中学校二年生一同)
註:「社会科で『静岡はミカンで有名です』などとならっても、そのミカンというのは、どんな木にどういうふうになるものだかわからないので、さっぱりおもしろくないんです。〈中略〉そういうことを静岡のお友達と手紙をやりとりするようになれば、すくおしえてもらえると思うんです。」

(看護学部 塚本 忠男)