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授業情報
2022.06.09
読書の愉しみpart4~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

読書の愉しみpart4~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

 

原田マハ『生きるぼくら』徳間書店、2015年9月

 「おにぎりが食べたくなる本」という言葉が帯の背に書かれています。何となく気になり手に取った一冊です。

 小学生の頃、両親が離婚し母との暮らしを送ることとなった主人公。高校時代にいじめにあい不登校となり中退。不登校になってからも母は何とか息子との会話の糸口を見つけようと試みますが…。以降自室に閉じこもり、いわゆる引きこもり生活となり24歳という年齢になります。母は身を粉にして働き、アパート代や食費、更には働かない息子の携帯電話やインターネットに係る料金まで捻出します。そんな頼りだった母がある朝突然いなくなってしまいます。置き手紙と当面のお金、そして10枚ほどの年賀状の束を残して…。その年賀状の束の中から、見覚えのある祖母の名前を見つけるところから物語が一気に動き出します。

 数年ぶりに外の世界へと歩みを進めた主人公。舞台は長野県の蓼科。無事に再会は果たせましたが、祖母は認知症を患っていました。祖母との生活を決心した主人公は、就職先を見つけ、地域の方々との関わりを持つようになります。そして祖母から受け継いだ「米づくり」を通して人の温もりに触れ、主人公は文字通り人と人との間で人間らしさを取り戻していきます。

 引きこもり生活から大きく人生が動き変わっていきますが、根底にある両親や祖母を思う気持ち、両親が主人公を思う気持ちというものが深く読み取れ、温かな気持ちになります。

「米づくり」を通しての風景には、どこか懐かしさも感じます。文庫本で415頁の本ですが、読みやすくページが進みます。結末はぜひ手に取って読んでいただきたいと思います。

 読み終えた私?「おにぎりが食べたくなりました」

(社会福祉学部 渡邊 俊行)

 

小川和人『41歳の東大生』草思社、2019年11月

 私が、この本『41歳の東大生』を本屋さんで手に取った時、ちょうど、TVドラマ「ドラゴン桜」を再放送している時であった。東京大学を目指す高校生たちの物語と、この『41歳の東大生』著者でもある小川氏の物語は、全く別のストーリーであったが、背表紙の「郵便配達員として働きながら6年がかりで東京大学に合格、41歳の東大生誕生」という見出しに興味がわき手に取ることにした。

 本文では、著者が一度大学を卒業したのちに、社会人として働きながら「学び直し」に挑んだ内容が、エピソードも踏まえながら詳細に描かれている。本学に在学している学生さんの多くは、なぜ、学び直す必要性があるのかと思う学生さんがいてもおかしくないと思う。しかし、「人生100年時代」に生きるための、これからの新たな学び方の一つとして、読んで頂けたらと願う。このコロナ禍で働き方も大きく変わり、自宅にいる時間や余暇時間が増える中で、いかにして、ブラッシュアップしながら、そして、スキルアップしようか考えている人は少なくないはずである。このような時、この「学び直し」は、その選択肢の一つとして、可能性はおおいにあり得ると感じる。また、学問をするよりも稼いだ方がいいと思う人もいるだろう。しかし、人生を豊かにするのはお金だけではないとも感じる。そこで得られた知識、知性、そして人間関係は宝物になる。人間にとって大切なものは何かと考えさせてくれる1冊でもある。ぜひ、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。

(短期大学部 福田 智久)