• 資料請求
  • インスタグラム
  • フェイスブック
  • ツイッター
  • ライン
2022.08.25
読書の愉しみpart12~本学教員がみなさんにお薦めの本を紹介します~

ウスビ・サコ『アフリカ出身 サコ学長、日本を語る』朝日新聞出版社、2020年7月

 『マリ共和国から中国を経て日本へ。波乱万丈な人生をコミカルに振り返る。新型コロナウイルス問題の低減で話題沸騰、日本のあり方、日本人の生き方を鋭く問う』と書店に平積みされていた書籍の帯に書かれていた。帯の文章が気になり思わず手にとってみたところ、日本に対するサコ氏の視点がなかなか興味深く、考えさせられる点も多くあったことから購入した。

 サコ氏は1966年、マリ共和国・首都バマコ生まれで1985年に中国に留学し、1991年4月大阪の日本語学校に入学し、1999年、京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程を修了し、2000年、京都大学より博士号を取得している。2013年、京都精華大学人文学部教授、学部長に就任し、2018年4月に学長に就任するという、異例の経歴の持ち主である。

 サコ氏は、日本に長年生活していてどうしても理解できないことがあるという。例えば部活についてである。運動部などの部活のある子は朝一番に学校に行き、夜遅くに帰ってきて寝る。好き勝手にだらだらする時間がない。趣味の本を読む暇もない。親としてそんな生活に違和感を抱くが、日本の親は「部活に入っているから、余計な趣味に気が散らなくて安心」などという。わけが分からない。それって逆じゃないの?とサコ氏は投げかけている。

これは一例ですが皆さんはどのように考えますか。いろいろな考え方を知ることは、自分自身の視野が広がると思います。是非、読んでみて下さい。

(看護学部 巴山 玉蓮)

 

アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳『スマホ脳』新潮新書、2020年11月

 みなさんはスマートフォン(スマホ)がない生活を想像できますか。スマホはわずか4~6インチサイズ程度でポケットに入る小型機器でありながら、インターネットを介して有益な情報を検索することを可能にし、私たちの生活を豊かにしてくれています。特に2005年以降に生まれた方々にとって、物心がついた頃から何をするにもスマホと一緒に行う相棒のような存在となっており、スマホがないという状況は想像できないくらいにみなさんの生活や体の一部となっているのではないでしょうか。

 この本のタイトルを見て、近年スマホ依存症が増えていることに警鐘を鳴らす内容が書かれていると想像したのですが、実際読んでみて、情報社会で生きていくには何が大切かを改めて考えさせられる作品でした。この本自体は、「そもそもヒトはなぜ情報を獲得しようとするのか」について、脳科学や先祖の行動から説明しています。ヒトはPCのように情報を格納し、それを検索して取り出す能力ではなく、情報をその人の個人的体験と融合させ、私たちが知識と呼ぶものを構築する、それが社会と繋がり、批判的な問いかけをし、情報の正確さを精査するための行動をとります。スマホはその検索を文句なく代わりに行ってくれますし、欲求を満たす情報をどんどん提供してくれますので、使用方法を間違えると私たちの大切な時間や学習する機会を奪います。

 私は現在国が力を入れている高齢者のICT活用に関して研究しているのですが、この本を読んで本当に高齢者が常にスマホで健康増進に有益な情報を獲得することは良いことなのかを考え直させられました。先祖が生き延びるために必要な情報(食べ物を探すこと等)を、スマホは短時間に獲得することを手伝うため、生活を豊かにすることは間違いないですが、ヒト同士が交流すること、ヒトが学ぶことの意義を理解した上で、スマホを活用することが重要ではないでしょうか。

(リハビリテーション学部 宮寺 亮輔)

 

山田詠美『つみびと』中央公論新社、2019年5月初版発行

 大阪市内のマンションで母に置き去りにされた幼い姉弟が餓死した事件をモチーフにした山田詠美さんの長編小説です。この衝撃的な事件は映像化もされており、私は担当科目である「乳児保育」の授業で、虐待(ネグレクト)について講義する際『子宮に沈める』という視聴覚教材を使っています。学生たちは、この二児放置死事件を視聴した後、どうすれば幼い命を救うことができたのだろうか、どんな支援が必要だったのかを真剣に考え、また、幼児教育の基礎である「生きる力」についても気づきがあったようでした。

 山田詠美さんは、この本に関するインタビューで「積み木がどこか一つ崩れたときに、自分が持っているものすべてがどうでもよくなる。日常生活をきちんと送ろうと思っているすぐそこに、地獄がある。」と話しています。この事件には「危うさ」がたくさん含まれており、それが地獄への誘導のように思えました。そして、「この事件が報道されたとき、置き去りにした母親を鬼母と呼び、この人はバッシングしてもいいぞとなるとみんなで一斉に『罪人』だと非難した。石を投げている人たちは、ものすごく気持ち良さそうな顔をしている」との語りも印象深かったです。

 「子育て」だけでなく「親育て」の重要性について考えさせられる1冊です。

(社会福祉学部 吉澤 幸)

 

萩原清文『好きになる分子生物学』講談社、2002年11月

 「息をとめると苦しいのはなぜ?」「肥満ってどうしてなるの?」「がんは遺伝するの?」これらの身近な疑問に、あなたは答えられるでしょうか。

 私たち自身の身体のことですが、具体的に説明するのは難しいと思います。そんな複雑な身体の仕組みに関する疑問を「分子」という目には見えないレベルの視点から解き明かしてくれるのがこの本です。

 生き物の最小単位である細胞をさらにばらばらにしてみると、分子という単位になります。分子自体に生命はありませんが、それぞれが物理化学的な相互作用以上の関係を持ち、まるで生きているかのように振る舞いながら私たちの身体を支えてくれています。

 この本では主に、生き物をつくる分子のなかで最も大切な役割を担う「タンパク質」の機能と関連する生命現象の仕組み、タンパク質の設計情報を担う「遺伝子」、ゲノム研究と医療などについてわかりやすく書かれています。教科書で勉強しようとすると難しい内容ですが、この本は至る所に個性豊かなゆるかわいいイラストの解説が盛りだくさん。思わずくすっと笑ってしまいながら気軽に読めてしまうのに、いつの間にか知識が身についてしまうお得な一冊です。

(医療技術学部 白岩 真彩)